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パニック障害と仕事|「クビになるかも」の不安で発作が出た私が、働き方を整理するまで

2026 7/02
仕事
2026年7月2日
PR本記事はアフィリエイト広告(PR)を含みます。また、筆者の体験に基づく一般的な情報であり、医学的な診断や助言ではありません。

パニック発作が初めて出たのは、契約満了を告げられた日の、帰りの電車の中だった。

夕方、派遣会社の担当者から電話で「今の契約で終わりになります」と伝えられた。その帰り道、電車に揺られていたら、急に息がしにくくなった。心臓が、自分の意思とは関係なく暴れ出す。頭がどうにかなりそうで、この動悸が着地点もなくエンドレスに続くんじゃないか、という恐怖に飲み込まれた。次の駅で降りて、駅員さんにお願いして、医務室のようなところで15分ほど横にならせてもらった。倒れて救急車を呼ばれたり、電車を止めてしまったりするのが、怖かったから。

この記事は、「パニック障害と仕事」で検索してここに来た人に向けて書いている。仕事のことを考えると動悸がする、また契約を切られるんじゃないかと不安で眠れない、そもそもこの状態で働き続けられるのか——もしそのあたりで立ち止まっているなら、パニック発作を経験した一人として、私が調べたことと、体験したことを、順番に置いておく。

目次

先に正直に——私が経験したのは「発作」で、「障害」の確定診断ではない

本題に入る前に、ひとつ正直に書いておきたい。私が経験したのは「パニック発作」だ。動悸や息苦しさ、強い恐怖が突然襲ってくる、あの発作そのもの。ただ、いわゆる「パニック障害」という確定診断を受けたわけではない。

ざっくり言うと、この二つは指すものが違う。パニック発作は、動悸・息苦しさ・強い恐怖などが突然起きる「エピソード(出来事)」のこと。強いストレスがかかれば、診断のつかない人にも起こりうる。一方のパニック障害は、その発作が予期せず繰り返し起き、「また起きるんじゃないか」という予期不安や、発作を恐れて特定の場所・状況を避ける行動が続く「状態」を指す、とされている。発作は点、障害はその点が続いていく線、というイメージが近いかもしれない。

なぜこれを先に書くかというと、私自身「発作が出た=もう自分はパニック障害なんだ」と早合点して、よけいに怖くなった時期があったからだ。実際には、そこは医師が時間をかけて診ていく領域で、自己判断で確定させるものではない。発作が出て不安なあなたも、まずは「発作」と「障害」は別物で、いま自分がどこにいるのかは決めつけなくていい、と知っておいてほしい。この記事は、”障害”という診断の有無に関係なく、発作や強い不安を抱えながら働くことに困っている人に向けて書いている。

「クビになるかも」が、発作を連れてきた

正直に書くと、私の発作は、いきなり降ってきたわけではない。半年くらいかけて、じわじわと積み上がっていた。

私が働いていたのは、外資系の派遣先だった。ある日、自分たちの担当している作業が、これからAIに置き換えられていく、という話が進んでいるのを知った。そこからは、後ろの席で上司が「あのプロジェクトどうなりました?」と誰かに聞いて席を立つたびに、自分の首がかかった話が背中で交わされている気がして、気が気じゃなかった。

「切られたら、どうしよう」。この一言が、頭の中でループし始めると止まらない。安定した基盤が崩れる。また、以前のように何十社も落ち続けるかもしれない。お金に困るかもしれない。継続にならないのは、結局、自分の能力のせいなのかもしれない——。まだ何も起きていないのに、想像の中で、最悪の未来を何度も先に生きてしまう。

不安が強い人間の脳は、「かもしれない」を「もう起きたこと」のように扱ってしまうところがある。私の場合、その慢性的な緊張が、コップの水のように少しずつたまっていって、契約満了の知らせ、という一滴で、とうとう溢れた。発作は、悪い出来事そのものより、悪い知らせが「届いた」瞬間に出る。少なくとも私は、そうだった。

パニック障害で、仕事はクビになるのか

いちばん怖いのが、たぶんここだと思う。「パニック障害だと知られたら、クビにされるんじゃないか」。

まず、事実の整理から。日本では、病気になったこと自体を理由に、会社が一方的に解雇することは、簡単には認められない。体調を理由にした不利益な扱いには、法律上のルールがある。就業規則に休職の制度があれば、まず休んで療養する、という道が先にあることも多い。だから「発作が出た=即クビ」ではない。ここはまず、頭の片隅に置いておいてほしい。

ただし、私のように有期の契約(派遣や契約社員)で働いている場合は、話が少し違ってくる。契約の期間が満了するタイミングで更新されない、という形は起こりうるし、その理由が病気だと明示されるわけでもない。私の契約満了も、表向きの理由は「担当業務のAI化」だった。本当のところは、分からない。

大事なのは、正確なルールは働き方(正社員か、有期か、障害者雇用か)や、会社の就業規則によって変わる、ということ。だから不安なときは、思い込みで先回りして絶望する前に、就業規則の休職規定を確認する、公的な労働相談の窓口に聞く、といった順番で、事実を一つずつ確かめたほうがいい。想像の中の「クビ」は、たいてい、現実より何倍も残酷にできている。

辞めるか続けるかを考える前段の整理は、発達障害で仕事が続かない時、辞める前に分けることにも書いた。「今すぐ辞めたい」という衝動と、「本当に辞めるべきか」の判断は、いったん分けて考えたほうがいい。

「パニック障害でも働ける仕事」はあるのか

結論から言うと、私は「向いている職種」より先に、「向いている環境」を考えたほうがいいと思っている。

私自身の体感で、いちばんしんどくなかったのは、職務の範囲がはっきりしていて、過度な責任や期待を一気に背負わされない環境だった。逆に、キャパを超えて何でも振られる、進捗を細かく詰められる、そういう場面で、いつも崩れてきた。

ややこしいのは、私の場合、指示されすぎるとイライラするのに、放置されすぎると不安になる、という面倒な性質があること。ちょうどいい距離で見てもらえないと、すぐ「自分は共同体から外された」と感じてしまう。以前の職場で、2か月ほどチームのランチに誘われなかっただけで、「終わった、はぶられた」と本気で落ち込んだことがある。あとで分かったのは、悪意でも仲間外れでもなく、私がたまたま、どのチームの編成からも見えにくい位置にいた、というだけの外形的な事情だった。事実はそうでも、心はそう受け取ってくれない。この過敏さも、働きづらさの正体の一つだと思う。

だから「パニック障害でも働ける仕事」を探すときは、職種名で決め打ちする前に、責任範囲・人との距離・通勤の負担・急な予定変更の多さ、といった環境の条件で見ていくといい。満員電車がきついなら在宅寄り、対人が重いなら人と接する頻度の低い仕事、という具合に、自分の発作の引き金から逆算して環境を選ぶ発想だ。

具体的な職種選びや働き方は、別の記事にまとめている。あわせて読んでみてほしい。

  • 向いてる仕事は?20種の単発バイトを試した当事者の結論
  • 障害者雇用で働くのがつらい|当事者が感じた現実と、続けるために選んだこと
  • 就労移行支援の選び方|5サービス比較

特に、体調を整えながら働く準備をやり直したいなら、就労移行支援のような「働くまでの伴走」を使う手もある。私自身は使い切れなかった時期もあるけれど、一人で就活の消耗戦をやるより、間に人がいるほうが、不安の強い人間には向いていることがある。

仕事を休むとき、どう伝えるか

発作が続くと、「今日は行けない」という日が出てくる。そのとき、多くの人が詰まるのが「休む理由を、どう伝えるか」だ。

ここは、無理に本当の病名を明かす必要はない、と私は思っている。体調不良、発熱、腹痛、めまい——体の言葉で伝えて構わない。パニック障害は、実際に動悸やめまいといった体の症状として出るのだから、嘘をついているわけでもない。診断を受けていて、会社に配慮をお願いしたい段階なら、主治医に相談して、無理のない範囲で伝え方を考えればいい。

職場に自分の特性を打ち明けるかどうか自体、正解のない難しい問題だ。私自身、伝えるタイミングを間違えて、かえってしんどくなったことがある。この判断については発達障害・ADHDを職場でカミングアウトする前にに整理したので、迷っている人はそちらを見てほしい。

大前提として、休むのは、逃げでも、甘えでもない。発作が出ている体を無理に動かし続けると、回復はもっと遠のく。まず、止まっていい。

まず、受診と相談から

ここからは、実際にどこへつながればいいか、という話。順番があると思っている。

いま、つらくてどうしようもない、消えてしまいたいような気持ちがあるなら、まずは無料で話を聴いてくれる窓口がある。よりそいホットライン(0120-279-338)、各地域のいのちの電話。何かを解決してくれる場所というより、「ただ、話を聴いてくれる場所」だ。うまく話せなくても、いい。

そのうえで、もう体に症状が出ているなら——眠れない、食べられない、動悸が止まらない——それは「気力」でどうにかする段階ではなく、医療の領分だと思う。私自身、発作の次の日にクリニックに行き、そこから通うようになって、少しずつ、あの底なしの動悸に飲み込まれる回数が減っていった。何がどう効いたかは人それぞれで、私が具体的な薬の名前を出すことはしないけれど、「一人で耐える」以外の選択肢があった、というのは、書いておきたい。

問題は、その受診が、いちばん高いハードルになりがちなことだ。外に出る気力がない、人が怖い、待合室がしんどい。そういう人にこそ知っておいてほしいのが、自宅から画面越しに受けられるオンライン診療という選択肢だ。

受診したいけれど、通院がしんどい人へ

エニキュア(精神科・心療内科オンライン診療) — スマホで自宅から精神科・心療内科を受診できる。動悸や不眠が続く、診断や薬の相談をしたい、という時の入口に。

※上記は広告リンクです。診療内容・費用は公式サイトでご確認ください。

いきなり医師の診察はきつい、まずは気持ちを言葉にするところから始めたい、という段階なら、オンラインのカウンセリングという入口もある。どのサービスが自分に合うかは、オンラインカウンセリングの選び方に、観点と注意点を整理した。診断や薬ではなく「まず話したい」人は、そちらから見てみてほしい。

最後に

契約満了の電車の中で、私は「もう終わりだ」と思った。仕事も、生活も、自分も。でも、あの日から少し時間が経って、発作の回数は減り、こうして文章を書けるくらいには戻ってきている。治った、と言い切れるわけではない。それでも、あの底なしの恐怖の中にいた頃の自分に、これだけは伝えたい。

「クビになるかも」の不安で発作が出るほど追い詰められているとき、あなたはもう、十分すぎるほど頑張っている。まず止まって、休んで、一人で耐えるのをやめて、誰か——利害のない専門家に、つながってほしい。仕事の心配は、あなたの体が少し落ち着いてから、そのあとでいい。


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この記事は筆者の個人的な体験に基づくものであり、医学的な診断や助言を目的としたものではありません。パニック障害をはじめ、心身の不調が疑われる場合や、つらい気持ちが強いときは、心療内科・精神科などの医療機関や、よりそいホットライン(0120-279-338)などの専門窓口にご相談ください。

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