心の不調を、誰かに相談したい。でも、知らない相談室に出向くのも、待合室に座るのも、受付で話すのもしんどい。人が怖いという悩みを抱えている人ほど、相談に行くまでの道のりそのものが、高い壁になっている。私自身がそうだった。
そこで現実的な選択肢になるのが、自宅からスマホで受けられるオンラインカウンセリングだ。ただ、いざ調べてみると、サービスがたくさんあって、何がどう違うのか、自分にはどれが合うのか、さっぱりわからない。
この記事では、私と同じように「人が怖い」「育ちのことを誰かに話したい」と思っている当事者の目線で、オンラインカウンセリングの選び方の観点と使う前の注意点を整理する。そのうえで、タイプ別に代表的なサービスを挙げる。先に断っておくと、私が全サービスを使い込んだレビューではない。各社の公式情報をもとに、「こういう人にはこれが向いていそう」という地図を描くものだ。
人が怖い当事者ほど、オンラインが向いている理由
そもそも、なぜオンラインなのか。人が怖い人間にとって、対面のカウンセリングや通院には、相談内容そのものとは別の負担がいくつも乗っている。
知らない場所まで出向く。受付の人と話す。待合室で順番を待つ。すれ違う人の視線が気になる。——相談にたどり着く前の工程が、全部、人と関わる作業でできている。皮肉な話だ。人が怖いのを相談しに行くのに、その道のりで消耗してしまう。
オンラインは、この前段の負担を物理的に削ってくれる。家から出なくていい。待合室に座らなくていい。サービスによっては、顔を出さず、本名も使わずに始められる。文字でのやり取りから入れるところもある。最初の一歩のハードルが、対面よりずっと低い。
私自身、利害のない専門家に自分の感覚を話して、「それはおかしくないですよ」と返してもらえただけで、ずいぶん楽になった経験がある。”自分は異常者ではないか”という本丸は、近い人にこそ言えない。遠い専門家になら、画面越しになら、少しずつ出せたりする。
選ぶ前に:「カウンセリング」と「診療」は別もの
ここが、いちばん大事な注意点だ。「オンラインで心の相談」とひとくくりにされがちだが、中身は大きく二つに分かれる。
- オンラインカウンセリング:公認心理師や臨床心理士などが、話を聴き、考え方や受け止め方を一緒に整理していくもの。医療行為ではないので、診断や薬の処方、診断書の発行はできない。「まず気持ちを言葉にしたい」「育ちや人間関係を整理したい」段階に向く。
- オンライン診療:医師が行う医療行為。診断、薬の処方、診断書の発行ができ、保険が適用される場合もある。「もう眠れない・動けない」「薬や診断が必要かもしれない」段階に向く。
自分がいま必要としているのが「話を聴いてもらうこと」なのか、「医師の診察」なのか。ここを取り違えると、ミスマッチになる。迷うなら、まずカウンセリングで話してみて、必要に応じて診療につなげる、という順番でもいい。
選び方の4つの観点
そのうえで、具体的に比べるなら、見るべきは次の4点だと思う。
① 担当者の資格。誰が話を聴いてくれるのか。公認心理師・臨床心理士といった専門資格を持つ人が在籍しているかは、最低限の安心材料になる。サービスによって、採用基準の厳しさはかなり違う。
② 相談の形式。ビデオ、音声(電話)、文字(メッセージ・チャット)、対面。人が怖い度合いによって、いきなり顔を合わせるビデオがきつい人もいる。まず文字から入れる形式があると、入口がぐっと楽になる。
③ 料金体系。毎月決まった回数を使う「月額制」か、使うたびに払う「都度払い」か。続けて話したいなら月額、まず一度試したいなら都度払いが向く。金額の目安は各社で異なり、改定もあるので、申し込み前に必ず公式で確認してほしい。
④ 匿名性と予約のしやすさ。本名や顔出しが必要か、24時間予約できるか、最短いつ相談できるか。「思い立ったときにすぐ」「身元を明かさずに」始められるかは、人が怖い当事者にとって、想像以上に効く。
タイプ別おすすめ——こういう人には、これが向いていそう
上の観点をふまえて、代表的なサービスを、向いていそうなタイプ別に挙げる。料金は記事執筆時点で確認した一例で、税込・変更の可能性があるため、最終的には各公式サイトで確認してほしい。
まず匿名で、気軽に・継続して話したい人へ
顔を出さず、本名も使わずに始めたい。できれば月に何回か、続けて話したい。そういう人には月額制のカウンセリングが向く。在籍カウンセラーが公認心理師などの国家資格者にしぼられていると、最初の安心感がある。ビデオや音声のセッションに加えて、合間にチャットで相談できるタイプなら、対面が苦手でも入りやすい。
Kimochi(オンライン心理カウンセリング)
公認心理師など国家資格を持つカウンセラーに、スマホから相談できる月額制サービス。顔出し・本名の登録は不要で、ビデオや音声のセッションにチャット相談を組み合わせられる。「まず匿名で、気持ちを言葉にしたい」人の入口に。Kimochiの公式サイトを見る
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形式やカウンセラーを自分で選びたい・まず一度試したい人へ
月額で縛られるより、使いたいときに使いたい。メッセージ・ビデオ・電話・対面から、自分が話しやすい形式を選びたい。担当も自分で選びたい。そういう人には、都度払いで、形式とカウンセラーの選択肢が広いサービスが向く。文字でのやり取りから始められるのは、いきなり話すのが怖い人にはありがたい。
うららか相談室(URARAKA)
臨床心理士・公認心理師など、多数の専門家が在籍する大規模なオンラインカウンセリング。メッセージ・ビデオ・電話・対面から形式を選べ、料金は一律でカウンセラーを自由に選べる。都度払いで「まず一度、合う人を探したい」人に。うららか相談室の公式サイトを見る
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医師の関与も視野に入れたい人へ
ただ話を聴いてもらうだけでなく、医師が監修している安心感がほしい。場合によっては、診療や診断書の相談にもつなげたい。そういう人には、クリニックが運営し、医師が関わるオンラインカウンセリングが向く。カウンセリングと診療の橋渡しがある分、「カウンセリングから始めて、必要なら診察へ」という流れを取りやすい。
かもみーる(医師監修オンラインカウンセリング)
医療機関が運営し、医師監修のオンラインカウンセリングと、医師によるオンライン診療の両方を扱う。臨床心理士・公認心理師などが対応し、ビデオのほか通話だけの相談も選べる。カウンセリングから、必要に応じて医師の診療や診断書の相談へつなげたい人の選択肢に。かもみーるの公式サイトを見る
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もう症状が出ている・薬や診断が必要かもしれない人へ
眠れない、食べられない、動悸が止まらない、気持ちが沈んで動けない。そこまで来ているなら、カウンセリングより先に、医師の診察を考えたほうがいい。とはいえ「人が怖いから病院に行けない」人にこそ、自宅から受けられるオンライン診療は現実的な入口になる。受付も待合室もなく、画面越しに、医師の診察・薬の処方・診断書の相談ができる。
エニキュア(精神科・心療内科オンライン診療)
提携医療機関の医師による、精神科・心療内科のオンライン診療。診断・薬の処方に対応し、保険が適用される場合もある。自宅から受診でき、薬は自宅に届く。「通院がしんどいけれど、診てもらう必要がありそう」な人の入口に。エニキュアの公式サイトを見る
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使う前の注意点
最後に、申し込む前に頭に入れておきたいことを、いくつか。
- 料金は変わる。プランや金額は改定されることがある。この記事の数字をあてにせず、申し込み前に必ず公式サイトの最新情報を確認してほしい。
- 相性は、一回ではわからない。合うカウンセラーに当たるかどうかは、やってみないとわからない部分がある。一度きりで「自分には向かない」と決めず、担当を変えたり、別の形式を試したりする余地を持っておくといい。
- カウンセリングは医療ではない。くり返しになるが、診断や薬が必要な状態なら、カウンセリングではなく診療(医師)が必要だ。症状が重いと感じるときは、診療を優先してほしい。
- 緊急のときは、公的窓口を。いますぐ誰かに話を聞いてほしい、つらくて持ちこたえられない——そういうときは、有料サービスの予約を待つより、下記の公的な相談窓口を使ってほしい。
最後に
完璧な一社、というものはたぶんない。あるのは、いまの自分の段階に、いちばん引っかかりが少ない入口はどれか、という話だ。
まだ「相談するほどじゃないかも」と思っているなら、まず愛着障害チェックリストで自分の対人パターンを見てみるのもいい。なぜ人が怖いのか、その背景を先に知りたいなら、人が怖いのは性格じゃないのほうから読んでみてほしい。私自身、長く性格のせいにしてきた人間として、一歩目のハードルがどれだけ高いかは、よくわかっているつもりだ。
それでも、利害のない誰かに話すことは、思っているより、効く。私はそうだった。あなたがどうかは、あなたが確かめればいい。
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この記事は筆者の個人的な体験と各サービスの公開情報に基づくものであり、特定のサービスの効果や、医学的・心理学的な診断・助言を保証するものではありません。心の不調が疑われる場合は、心療内科・精神科やカウンセラー、法テラス(0570-078374)、よりそいホットライン(0120-279-338)などの専門窓口にご相談ください。

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