「なんで片付けられないの?」と言われ続けてきた。
子供の頃から部屋が汚かった。大人になっても変わらない。片付けようと思って始めるけど、30分で飽きる。途中で別のものが気になって、そっちに手をつける。結果、元より散らかる。
ADHDの傾向に気づいて、片付けられないのは「性格」ではなく「脳の特性」だと分かった。それだけで自分を責める回数が減った。
この記事では、僕の部屋で実際に起きたことを金額込みで全部書く。そのうえで、片付けのコツと、片付け術の本にもルンバにも救われなかった僕に唯一効いた方法を書く。先に言っておくと、それは「片付けを頑張ること」ではなかった。
僕の部屋で実際に起きたこと(実録)
きれいごとを書いても仕方ないので、実際にあったことを並べる。全部本当の話だ。
引っ越しの荷造りで、開けっぱなしのティッシュが5箱出てきた
引っ越しの片付けをしていたら、部屋のあちこちから「開封済みのティッシュ箱」が5箱出てきた。買った記憶はそれぞれある。「ティッシュどこだっけ、まあいいや買おう」を5回やった結果だ。
ADHDには「見えないものは存在しない」という感覚がある。物が散らかった部屋では、ティッシュひと箱すら地層に埋もれて「存在しない」ことになる。だから同じ物を何度も買う。僕は、部屋が散らかっているというだけで、お金を減らし続けていた。
ワイヤレスイヤホンを4個なくした(損失およそ6万円)
AirPodsを2回、ソニーを1個、海外メーカーのを1個。全部壊れていない健全な状態のまま、部屋のどこかへ消えた。損失だけでおよそ6万円になる。
小さい物は散らかった部屋に勝てない。この顛末はADHDでイヤホンを5台無くした僕の結論に詳しく書いたけど、結論だけ言うと「なくさない工夫」より「なくしても痛くない物を選ぶ」方が僕には現実的だった。
床を空けられないのに、ルンバ最新型26万円を買った
これが僕の浪費の代表作だと思う。ルンバは床に物がなければ優秀に働く。でも僕の部屋は床に物がある。それが決定的な短所だと分かっていたのに、「ルンバがあれば部屋がきれいになるはず」という希望に26万円を払った。
結果、100回も使っていない。ルンバは散らかった部屋を片付けてはくれない。片付いた部屋を維持する機械だ。順番が逆だった。
物の山で、パソコンとドアを壊した
物が溢れたベッドの縁から身を乗り出して体重をかけたら、買って1年ちょっとのノートPCの液晶が割れた。保証が切れた絶妙なタイミングで。それ以来、外付けモニターが必須になった。
引っ越し準備のときは、頭の高さまで積んだ段ボールの上にギターアンプを置いて外出した。帰ってきたら全部崩れて、トイレのドアに直撃していた。修理代は6〜7万円。火災保険で一部は戻ったけど、実損で3〜4万円。散らかった部屋で、僕は物をなくすし、物を壊す。
退去の立ち会いに、片付けが間に合わなかった
引っ越しの退去日。約束の時間までに部屋を空にできず、立ち会いの担当者を2時間近く待たせたことがある。徹夜気味で詰めても終わらなかった。焦れば焦るほど手が動かなくなって、何度も頭を下げながら、汗だくで段ボールを運んだ。
「計画的にやれば間に合ったでしょ」と言われたら、その通りだ。でも、間に合わないのだ。毎回「これくらいなら間に合う」と思って、直前まで手をつけられず、最後に間に合わなくなる。これを何度も繰り返してきた。
ここまでの実録、じつは金額を全部足すと(ほかの「欲しいと思ったら我慢できなかった物」も含めて)約80万円になる。80万円の内訳と、お金側で僕に効いた対策はADHDのお金の管理|浪費80万円の僕が構造で変えた話に全部書いた。散らかった部屋のせいで、僕はお金も時間も信用も失ってきた。
なぜADHDだと部屋が散らかるのか
自分を責める前に、構造を知っておいてほしい。僕の理解では、片付けはADHDが苦手な動作の「全部盛り」だ。
- 実行機能の弱さ ── 「始める」「続ける」「終わらせる」の3つが全て苦手。片付けはこの3つ全てを要求する
- 注意の転導 ── クローゼットを片付けていたら、懐かしい写真が出てきてそっちに気を取られる。「一つのことに集中し続ける」が難しい
- 「見えないものは存在しない」問題 ── 引き出しにしまうと、そのモノの存在を忘れる。だから全部出しっぱなしにするが、それが散らかる原因になる
- 時間の見積もりが楽観的 ── 「1時間で終わる」が3時間かかる。退去立ち会いの2時間も、これでやらかした
- 「完璧にやらなきゃ」思考 ── 「やるなら完璧に」と思うから始められない。毒親育ちの完璧主義とADHDの先延ばしが絡み合う
これは怠けではなく、脳の特性による構造だと僕は考えている。構造なら、根性ではなく設計で対処できる。
なお、「自分はADHDなのだろうか」と気になっている段階の人は、自己判断で決めつける前に大人のADHDで診断がつかない時、相談前に整理することを読んでみてほしい。診断や治療の判断は、必ず医療機関で。
ADHDの片付けコツ ── 僕が実際にやっていること
- 「5分だけ」ルール ── タイマーを5分にセット。鳴ったらやめていい。「5分だけ」と思えば始められる。そして大体、5分で終わらない(過集中が発動する)
- 「1エリアだけ」片付ける ── 部屋全体をやらない。「今日はデスクの上だけ」「洗面台だけ」。範囲を限定すると実行機能の負荷が減る
- 収納は「投げ込み式」一択 ── 細かく分類する収納はADHDには向かない。大きな箱にジャンルごと投げ込む。「美しい収納」より「続けられる収納」
- 「一時置き場」を作る ── どこに置くか迷うものを入れる箱。溜まったら週末に一気に仕分ける。「迷う時間」を削るのがポイント
- 音楽をかけながらやる ── ADHDの脳は「適度な刺激」があると動きやすい。アップテンポの曲をかけると、体が動き始める
この5つは今も使っている応急処置として優秀だ。ただ、正直に言うと、コツだけでは僕の部屋は維持できなかった。地層は、コツより速く積もる。
僕に効かなかったこと
- 片付け術の本 ── 読んでいる間は片付いた気になる。本が1冊増えて終わった
- 収納グッズ ── 収納を買うと物が増える。しかも収納の中身は「見えないもの」になって存在が消える
- ルンバ(26万円) ── 前述の通り。片付いた部屋の維持装置であって、散らかった部屋の救済装置ではない
- 「今度こそ計画的にやる」という決意 ── 「今度こそ」は何度言っても積み上がらない。毎回同じところでつまずいた
唯一効いたのは「片付ける」をやめて「減らす」だった
結論から言うと、僕に効いたのは片付けの技術ではなく、物そのものを減らすことだった。物が少なければ、散らかりようがない。ティッシュも埋もれない。イヤホンも見つかる。ルンバも走れる(もう買わないけど)。
ただ、ここでADHDには次の壁が来る。「捨てる」は決断の連続で、やっているうちに頭が削られてくる。1個ずつ「要る・要らない」を判定していたら、途中で力尽きて、部屋の真ん中に「保留の山」ができる。僕は何度もこれをやった。
だから僕は「捨てる」ではなく「売る」に切り替えた。特に宅配買取が、ADHDの脳と構造的に相性が良かった。理由は3つある。
- 家から出なくていい ── 申し込むと段ボールが届いて、詰めて、集荷を呼ぶだけ。「持って行く」という最大の壁がない
- 締切が向こうからやってくる ── 集荷日が決まると、そこまでに詰めるしかない。自分で決めた締切は破れるけど、他人が来る締切は僕でも動ける(退去立ち会いで学んだ、唯一のポジティブな応用だ)
- 「もったいない」が消える ── 捨てられない理由の大半は「高かったから」。売ればお金に変わるので、手放す言い訳が立つ
僕の場合、ほとんど使っていないブランドバッグ(ビジネスマンでもないのに買った15万円の革バッグだ)や、休眠中のガジェットが「地層」の主成分だった。この手の「高かったのに使っていない物」こそ、売る対象にすると部屋とお金が同時に回復する。
ブランド品・時計・バッグは、箱に詰めて送るだけ
使っていないブランド品や時計があるなら、宅配買取で「地層」から現金に変える。申込→段ボールが届く→詰めて集荷、の3ステップで家から出ずに完結する。査定額やキャンセル・返送の条件は会社ごとに違うので、申込前に公式サイトで確認してから送るのが安心だ。
→ ブランドオフの宅配買取を見る
バッグや時計みたいな「単価の高い物」はこれでいい。問題は、量で地層を作っている服だ。服は1点ずつ売ろうとすると心が折れるので、僕は別の出口を使った。
着ていない服は、まとめて一箱で
クローゼットの「着ない層」は、洋服系の宅配買取でまとめて手放せる。1点ずつメルカリに出す気力が湧かない僕みたいな人ほど、一箱方式が向いている。
→ 洋服・ブランド品の宅配買取エコスタイルを見る
「片付けられない自分」を責めないで
ADHDで片付けられないことは、あなたの怠けではない。脳の特性として、実行機能・注意の切り替え・ワーキングメモリが「片付け」というタスクに向いていないだけだ。
そして、無理に「片付けられる人」になる必要もないと僕は思っている。物を減らして、散らかる余地そのものを減らす。それでも散らかったら、また減らす。僕はそのくらいの雑な設計で、ようやく床が見える生活をしている。
あなたを正したいとも、形にはめたいとも思っていない。ただ、同じ地層の中で暮らしてきた者として、「片付けを頑張る」以外の道があることだけ、置いておきたい。
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この記事は筆者の個人的な体験に基づくものであり、医学的・心理学的な診断や助言を目的としたものではありません。記載の金額は筆者の実体験当時のものです。ADHDの症状や治療については医療機関へ、心の悩みは厚生労働省 こころの相談窓口やよりそいホットライン(0120-279-338)などの専門窓口にご相談ください。

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