ADHD傾向の人は「展示会スタッフ」のバイトに向いてる?実体験からメリット・デメリットを徹底解説

バイトの種類別体験談

私はADHD傾向がありますが、以前に展示会スタッフとして複数回アルバイトした経験があります。今回はその体験をもとに、ADHD傾向のある人がこの仕事に向いているのかどうか、実際の現場の様子やトラブル、よかった点を含めて、メリット・デメリットを率直に解説します。

「展示会スタッフ」の仕事の概要

展示会スタッフの仕事は、来場者への案内や誘導、受付(パスチェック)、パンフレットの配布、会場内の見回りなど、多岐にわたります。屋内のイベントが多く、冷暖房完備で作業環境は比較的良好。一方で、来場者の数や催しの内容によって忙しさが大きく変動します。イベント中は長時間の立ち仕事や声掛けが必要となり、体力・集中力が求められるほか、コミュニケーション力もやや必要かもしれません。

ADHDの人にとってのメリット

室内での仕事が大半

屋内の展示場が主な職場となるため、天候に左右されない点は非常にありがたいです。気温や湿度に敏感な人にとっても働きやすく、照明や音量もコンサートなどのイベント系に比べれば比較的落ち着いています。

不思議とスタッフ全体に文化系の空気感がある

経験上、展示会スタッフの現場には「体育会系!」という雰囲気よりも、どこか落ち着いた、文化系の空気感が漂っていました。筆者は体育会系に思えるコンサートスタッフを先に何度も経験していたため、展示会のスタッフをやったため、これはとても新鮮な感覚でした。体育会系・文化系の二元論にするのは本当は好ましいことではありませんが、敢えて言うなら、ADHD傾向の人は文化系の人が多いはず。ゆえにこの点はメリットになるはずです。

コンサートスタッフでは大学生のアルバイトのような現場責任者に理不尽なことを言われたり、荒っぽい指示をされたりしたことが度々あったのですが、なぜか展示会スタッフではこれらの経験が全くありませんでした。ただし現場や運営会社によって状況は異なるので、お気をつけください。

わかりやすいタスクが多い

これはイベント系スタッフに総じて言えることではありますが、パンフレット配布や受付など、基本業務が明確な場合が多いです。このような業務では、「これだけやればいい」とタスクに集中できるため、ADHDの特性にはプラスに働く可能性があります。

ADHDの人にとってのデメリット

声出し、コミュニケーションが求められることがある

呼び込みや案内、チラシ配りなどのセクションでは、大声を出したり元気よく挨拶することが求められることもありました。

内向的なADHDの人や、対人折衝がとても苦手だと言う人は、不向きだと感じるかもしれません。

お客様の機嫌が悪いことがある

展示会はコンサートのような“楽しみに来た”というお客様ばかりではありません。ビジネスで仕方なく来場している人や、戦闘モードの営業マンのような人も一定数いる印象です。さらに無料イベントだと、あらゆる意味で風変わりな人も。筆者の感覚では、5人に1人くらいの頻度でタメ口だったり、焦って早口の人がいました。よって、接客はそれなりに緊張感を伴うものであり、精神的に地味に効いてきました。

長時間勤務で体力・集中力勝負

1日9時間以上拘束の現場が多く、特に立ちっぱなしの誘導業務は、足腰にきます。加えて来場者が切れ間なく来る時間帯は、ずっと集中し続ける必要があり、精神力も試されました。

例えば筆者は受付付近で通路の案内をしましたが、1日6時間くらい続けて「◯◯はこちらです!」「走らずにお進みください!」などと同じ文言を言い続けなければなりませんでした。これは想像以上に苦痛です。途中でゲシュタルト崩壊し、噛んだり、言葉が出てこなくなったりすることもあります。ただしこれらは、ADHD傾向の人だけにあることではなく、誰しもがなることなので、気にしないことが肝心です(実際に他のスタッフの人にも同じ現象が起きていました)。

休憩が読みづらい/場所が遠い

現場によっては、休憩の取り方が事前に明示されていないこともありました。基本的にはお昼ご飯のタイミングが読めないことが多いはずです。さらに、展示場によっては休憩所が遠く、ポジションと休憩所の往復のせいで1日1万歩以上歩いた日もありました。

説明が実務と乖離している/そもそもイベント内容が複雑

筆者が体験した現場では事前説明が非常に丁寧だったのですがいわゆる“総論”が多く、現場で頻出する“各論”の部分が定着しないままポジションに就いてしまって混乱することもありました。展示会によっては開催内容が複雑なこともあり、即時的にお客様の質問を処理できない場面も多々ありました。

内気なスタッフが多くて伝達が大変

これは瑣末なことですが、筆者が体験した現場の同僚スタッフには、やや内向的な人が多く、意思疎通に苦労する場面もありました。声が小さくて聞こえないため、伝達事項を伝える際に苦労を感じやすかったです。

総じて言うと、コンサートスタッフの現場ではともすれば一体感さえ感じたのに対し、展示会スタッフの現場では個々人でクールな感じも見受けられました。

ADHDが働いて困ったこと

案内が複雑で、うまく説明できなかった

来場者から「この催しはどこ?」と聞かれても、構成が複雑すぎて説明に詰まり、お客様に少し怒られた場面もありました。このように開催内容や自身の知識量によっては、接客時の受け答えで混乱してしまうかもしれません。肝心なのは近くの責任者に滞りなくつなぐことと、事前にできるだけ正確な知識を多く詰め込んでおくことでしょう。

「声を出して元気に!姿勢良く!」のプレッシャー

筆者が体験した現場では自分に直接ではなくても、セクション全体に「もっと笑顔で!」「元気よく挨拶をする!」「立ち姿をしっかり!」とやや注意が入りました。

接客の仕事になるので、お客様の前でふさわしい振る舞いが求められます。

実際によかったこと

親会社・派遣会社の社員さんがすごく丁寧で優しかった

現場の統括スタッフの方、派遣会社のスタッフの方がとても丁寧で親切に接してくれたのが、強く印象に残っています。コンサート系のピリピリ感とは違い、展示会現場には落ち着いた優しさがありました。(※ただし、運営会社によって違うことにご留意ください。)

アルバイトのあらゆる現場の中で、最も丁寧に接していただいた気がします。あくまで筆者の推測ですが、コンベンション運営系のお仕事はto B(対企業)のお仕事なので、社会人マナーを徹底された方が多いのではないでしょうか。

運営会社の責任者・スタッフたちが理知的で理不尽がない

前述しましたが筆者の現場では、教えていないことを押し付けたり、無茶苦茶な休憩シフトを敷いたりといった非論理的・人道的な対応が一切なかったことに、驚きました。

コンサートスタッフの複数の現場では、いきなり教えていないことで怒られたり、強い口調で何かを指示されたり、休憩時間にムラがあったりしてかなり粗雑な印象だったのですが、筆者の体験した展示会スタッフではそれらが真逆でした。もちろん現場の会社によって異なりますが、これはロジカル・繊細なADHD傾向の人にとってプラスになる可能性が多分にあります。

結論:ADHD傾向の人には職場環境としては向いている。だが…

展示会スタッフは、屋内で気候に左右されず、文化的な土壌があるなど、ADHD傾向のある人にとっては比較的「働きやすい部分」が多いバイトだと感じました。一方で、複雑な案内業務(時にあいまいな指示)、接客のコミュニケーション力、肉体・精神の持久力が必要など、いくつかのハードルも確かにあります。

したがって筆者は、展示会スタッフのバイトは「ADHDにそれなりに向いている」と判断しました。星評価だと5段階で4.2程度です。

「静かめで文化系な雰囲気が合っていた」「社員さんが丁寧だった」という点では好印象でしたが、「案内が難しい」「体力的にきつい」というストレスも無視できません。

ADHD傾向のある方は、事前に人材会社の口コミや会場の雰囲気などを下調べしておくとなお良いかもしれません(ただし現場の当日の雰囲気は、就業してみないとわからないのも事実です)。

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嫌な顔をするお客さんも一部いる

不衛生な局面がたまにある(ビブスなどの持ち物や待機場など)

またこれは些細なことかもしれませんが、スタッフとして支給される制服やビブスなどの備品や、休憩時に使う待機場やロッカーなどが著しく汚く、不衛生に感じられる時があります。

これは一部の感覚過敏な方にとっては、耐え難いものかもしれません。 

機材の搬入時は、どうしても大きな音が出ることがあります。また、職人さん同士の指示の声なども飛び交うこともあります。聴覚が敏感な方にとっては、これらの音がストレスに感じるかもしれません。ただ四六時中うるさいというよりは、うるさい時間帯と静かな時間帯がそれぞれにある印象です。

現場で特に注意すべきこと

  • フォークリフトの進路は優先しなければならない
  • 共同で物を運ぶときは同僚や自分の手や足が挟まれないように、しっかりと声掛けをする
  • できないことはできないと端的に言う(職人さんは結論を求める)
  • モノ特有の運び方を守る(例えばキャビネットは縦or横向きで転がす、人工芝の上では原則パレットの上でモノを転がす、等々)
  • 現場を走らない(移動は原則徒歩で大丈夫)
  • 職人さんに対して素早く気持ちの良い返事をする

周知事項が多い、スタッフが意外と適当

搬入・搬出などのイベント系の作業は、拘束時間が終日に及ぶなど、とても長い傾向があると思います。ゆえに体力のペース配分や、単調な作業を継続することによる集中力の維持が肝要になるでしょう。長時間同じ作業に拘束されることが苦手な人は、短時間の案件を選ぶなど工夫をした方がよいかもしれません。

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筆者のおすすめ度:★★★★☆(5段階中4)

私自身は、わかりやすい指示の下で人間関係の煩わしさが少なく、ADHDの人にとってそれなりに働きやすいバイトなのではないかと感じました。但し現場によって業務内容や雰囲気、その他の環境は異なるため、その点は注意が必要です。

もし、身体を動かすことに抵抗感がなく、指示をしっかりと聞いて行動できるのであれば、一度挑戦してみるのも良いかもしれません。作業に従事する際にはくれぐれも安全第一で、現場の監督者の指示を守るようにしてください。

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